24 11月 2014
[映画]紙の月
バブルがはじけて間もない1994年、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)は綿密な仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され、上司や顧客から信頼されるようになる。一方、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱く中、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に陥っていく。彼と逢瀬を重ねていくうちに金銭感覚がまひしてしまった梨花は、顧客の預金を使い始めてしまい……。シネマトゥデイ
映画「紙の月」のテーマは銀行員による巨額横領事件だけど、横領を犯す主人公の梨花の心情がよく出ていてよかったです。
(後味は決して良くないけど)余韻の残る作品でした。
自分の居場所はどこなのか?
人に何か与えることで、そこが自分の居場所だと感じることは多くあります。
夫に時計、愛人の学生に豪華な生活、貧しい国の人への多額の寄付・・・。
与えることへの渇望から金銭感覚がどんどん麻痺していく感覚が伝わってきます。
映画のいいところは心理描写をどのように映像で表現するかというところです。
例えば、梨花と光太が恋に落ちるシーンは独特の映像表現のみで一切の説明なし。
偶然改札で会う、
光太が梨花の乗る電車に乗る、
梨花が光太をちらちら見るが光太は追ってこない。
光太が梨花の乗る電車に乗る、
梨花が光太をちらちら見るが光太は追ってこない。
後日偶然駅のホームで見かける、
梨花が光太のいるホームへ階段を降りてくる、
電車の中で互いに見つめ合う。
実際にはいろいろな思いがあったのでしょうが、映像だけで想像を掻き立てるのは映画ならではですね。
圧巻だったのがやはり最後。
小林聡美演じるより子が梨花を追い詰めるシーン。
そして梨花がとった突発的な行動。
ここはどきどきしながら見入っちゃいました。
小林聡美の存在感は映画自体に重みを与えてたし、宮沢りえの演技は梨花の心情=映画そのものでした。